中学3年生の夏休みになると、多くの生徒が夏期講習を受けます。
文法を復習し、長文を読み、入試問題を解く。どれも高校受験に必要な勉強です。
しかし、英単語を覚えないまま講習だけを受けても、英語の成績はなかなか上がりません。
それにもかかわらず、多くの塾では、夏期講習の授業中に英単語を体系的に扱うことはあまりありません。
英単語が重要でないからではありません。
英単語の暗記は、講師が説明する「授業」の形になりにくいからです。
英単語の勉強は「授業らしく見えない」
文法の授業なら、講師がルールを説明し、生徒が問題を解き、最後に解説をするという形になります。
長文読解でも、文の構造を説明したり、内容を整理したりできます。
一方、英単語の勉強は基本的に、
- 英単語を見る
- 意味を思い出す
- 答えを確認する
- 間違えた単語をもう一度覚える
という繰り返しです。
講師が長時間説明する必要はありません。
生徒によって覚えている単語も違うので、全員に同じ説明をすることも難しいです。
授業中に生徒が黙々と英単語を覚えているだけでは、保護者から見ても、
「これなら家でもできるのではないか」
と思われやすいでしょう。
そのため、多くの塾では英単語学習を授業の外に出し、
「単語帳を家で覚えてきてください」
「毎日30語ずつ進めてください」
という宿題にしがちです。
しかし、英語が苦手な生徒ほど、その宿題を自分で進められません。
英単語を覚えなければ、長文の授業も生かせない
英語の長文を読むには、文法だけでなく語彙が必要です。
一つの文に知らない単語が一つ程度なら、前後の内容から意味を推測できる場合もあります。
しかし、知らない単語がいくつもあると、文章全体が見えなくなります。
その状態で長文の授業を受けても、生徒本人には、
- 文法が分からないのか
- 単語が分からないのか
- 文章の内容が難しいのか
区別できません。
講師の解説を聞けば、その場では分かったような気になります。
しかし、次の長文を読むと、また単語で止まります。
英単語が不足したままでは、夏期講習の授業数を増やしても、講師の解説を聞く時間が増えるだけになりかねません。
もちろん、文法や長文の授業が不要という意味ではありません。
授業の効果を出すためにも、その土台となる英単語を覚える必要があるということです。
中3の夏休みは英単語をやり直す大きな機会
夏休みが終わると、実力テストや模試、過去問演習が増えていきます。
中学英語の基本単語が分からない状態で入試問題を解いても、思うようには進みません。
そのため、中3の夏休みには一度、英単語を整理しておく必要があります。
ただし、中1の最初の単語から、全員が同じようにやり直す必要はありません。
bookやdog、playといった単語をすでに知っている生徒が、簡単な単語ばかり何日も繰り返しても、勉強量のわりに効果は上がりません。
私が多くの中学生を見ていて感じるのは、英単語が本格的に怪しくなりやすいのは、中2レベルあたりからだということです。
中2以降になると、
- 抽象的な意味の単語
- 形容詞や副詞
- 複数の意味を持つ動詞
- 長文でよく使われる語
が増えていきます。
そのため、多くの中3生は、中2レベルから総復習を始めるのが現実的です。
英語がかなり苦手なら中1レベルから、基礎が十分に身についているなら中3レベルから始めてもよいでしょう。
大切なのは、自分の実力に合ったところから始めることです。
英単語は「見た回数」より「思い出した回数」
英単語を覚えるとき、単語帳を何度も眺めたり、同じ単語を10回ずつ書いたりする生徒がいます。
もちろん、書くことで覚えられる場合もあります。
しかし、それだけでは「見れば分かる」という状態になりやすく、テストで自力で答えられるとは限りません。
英単語学習で必要なのは、覚えたつもりになることではなく、答えを隠して思い出すことです。
たとえば、
improve
という単語を見て、
改善する
と自分で答える。
この「思い出す練習」を繰り返すことで、少しずつ記憶が定着します。
英単語は、見た回数よりも、自力で思い出した回数によって覚えやすくなります。
一日で完璧に覚えようとしない
英単語は、一度勉強しただけでは忘れます。
これは記憶力が悪いからではありません。人間は忘れるものです。
大切なのは、忘れないことではなく、忘れたあとにもう一度思い出すことです。
たとえば、同じ単語を次のように3日間で確認します。
1日目:4択で意味を選ぶ
まずは英単語と意味を結びつけます。
まだ知らない単語も多いので、最初は4択程度で構いません。
2日目:6択で意味を選ぶ
翌日は選択肢を増やし、前日より少し難しくします。
一度見た単語を、自分の記憶から思い出せるか確認します。
3日目:例文の中で確認する
3日目は例文の空欄に入る単語を選びます。
単語単体の意味だけでなく、文章の中でどのように使われるかも確認できます。
同じ問題を3日間繰り返すのではありません。
1日目は意味を知り、2日目は自力で思い出し、3日目は文脈の中で判断する。
少しずつ問題の形を変えることが大切です。
間違えた単語を優先する
英単語帳を毎回最初から最後までやり直すのは、効率のよい方法ではありません。
すでに覚えている単語よりも、
- 間違えた単語
- 答えるまでに時間がかかった単語
- 似た単語と取り違えた単語
を優先して復習するべきです。
一度正解しただけで「覚えた」と判断するのではなく、翌日や数日後にも答えられるか確認します。
英単語の勉強では、勉強時間の長さよりも、苦手な単語に何度再会したかが重要です。
英単語に必要なのは「授業」より「仕組み」
英単語は、講師が長く説明すれば覚えられるものではありません。
必要なのは、
- 毎日決められた範囲が出る
- 前日と一昨日の単語も復習する
- 間違えた単語がもう一度出る
- どこまで終わったか分かる
という仕組みです。
「毎日30語覚えなさい」と言われても、中学生が自分で復習日まで管理するのは簡単ではありません。
いつ、どの単語を、どの形式でもう一度確認するのか。
そこまで用意されて初めて、英語が苦手な生徒でも続けやすくなります。
A-Dicで中学英単語を総復習できます
そこで、中学英単語を夏休みに自分で進められるよう、無料英単語学習ツール「A-Dic」にトレーニング機能を用意しました。
A-Dicでは、同じ単語を、
1日目:4択
2日目:6択
3日目:例文穴埋め
の順で確認します。
間違えた単語は、その日の最後にもう一度出題されます。
また、最初から全員が同じ範囲を学習するのではなく、
- レベル1から
- レベル2から
- レベル3から
開始地点を選べます。
英語がかなり苦手ならレベル1から、多くの中3生はレベル2から、基礎が十分ならレベル3から始めるとよいでしょう。
期末テスト終了後から夏休み終了まで、毎日少しずつ進めることで、中学英単語を計画的に総復習できます。
講習と英単語学習は役割を分ける
夏期講習では、文法や長文読解、入試問題の考え方を学ぶ。
英単語は、毎日自分で反復できる仕組みを使って覚える。
この二つを分けて考えることが大切です。
英単語を覚えずに、英語の授業だけを増やしても、なかなか成績にはつながりません。
反対に、単語だけ覚えて文法や読解をまったく学ばなくても、入試問題は解けません。
授業で理解し、自習で土台を積み上げる。
その両方がそろって、英語の成績は伸びていきます。
中3の夏休みの英単語学習で大切なのは、一度に完璧に覚えることではありません。
自分に合ったレベルから始め、新しい単語を進めながら、昨日と一昨日の単語をもう一度思い出すことです。
英単語は、見た回数ではなく、自力で思い出した回数によって定着します。